しろくろの不思議?

落ちこぼれが語るダメ人間的な疑問?

桃太郎は始まらない プロローグ お爺さんとお婆さん

 と言う訳で今回はこんな感じです。

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桃太郎は始まらない

 

 プロローグ お爺さんとお婆さん

 

むかしむかしある所にお爺さんとお婆さんがいました。

 

お爺さんは山に芝刈りにお婆さんは川に洗濯にいきました…

 

なんて時代はおとぎ話でしか聞いた事はなく、山まで芝刈りに行必要まなければ

川まで洗濯に行く必要もない。

 

しかし今、お爺さんは芝刈りをしている。

「何故だ…何故こんな事…」

 

お爺さんは心に問いかける。

「確かに芝刈りは必要だ。ほっておくとぼうぼうで文字通り草生えるだからな。

しかし、何故だ?ワシは木こりでもないのに何故山にいる?そもそもワシはお爺さんか?」

お爺さん?と言うには余りにも若すぎることに男は気付く。

お爺さんと言うよりはお兄さんと定義する方が適切だろう。

顔つきも幼さが残っている。十代後半位だろうか。髪もまだふさふさ、身長は165㎝前後位。

 

どう考えてもお爺さんではない。しかし何故か彼は自分をお爺さんと定義していた。

彼の今の服装は中袖のジャージに半ズボン。学校指定の物と思われる。

どうやら、学校の行事で裏山に芝刈りに来ていたらしい。

そんな事をお爺さんと定義していたお兄さんは思い出す。

 

「又、ぼぉーとしてたわ」

頭の中で桃太郎の事を考えてたらしい。何故かは不明だ。

今も頭には桃太郎が残っている。

芝刈りをする自分と桃太郎のお爺さんの姿を重ねていたつもりらしい。

失礼だろ。

 

「おーいもも、集合時間だぞ」

クラスメイトと思われる男子が彼に声を掛ける。

 

「あっ、はい…」

彼は弱弱しく返事をする。

「もも」と言うのが彼のあだ名だ。

因みに彼は桃山でもなければ百瀬でもない。

しかしあだ名は「もも」だ。

いつからそう呼ばれる様になったかはよく覚えていないらしい。

ももの頭の中桃太郎…

意味不明な事を考えながらクラスメイトと思われる人達の群れに近づく。

 

「ねぇー?太郎は?」

そう誰かに質問する女子の声が聞こえた気がするが自分には関係ない様なのでスルーした。あぶねー…

間違って返事して引かれたら嫌だしな…

誰も気にしねーよ

そんな事を考えながら視線を川の方に向ける。

そこにはお婆さんがいた。

いや、お婆さんと言うには若すぎる。

おねーさんと言った方が良いだろうか?年はももと言われる少年と同じ位の少女と思われる。

川で一人何かをしているようだ。遠くて良く見えない…

そう思い気が付くと川の方まで足が体が引き寄せられていた。

 

どうやらこのお婆さんは川で洗濯はしないようだ。

そんなことを考えながら家の洗濯機が故障していたことを思いだす。

 

川に来るなら洗濯物持ってくればよかったな…

いつの時代だ?

そんなことを考えているとお婆さんと定義したおねーさん?がこちらを視る。

 

「お婆さん…」

「…」

そうももは呟いた。

やべー間違ってお婆さんって言っちゃった。

ももは同様してる。しかし頭から桃太郎はまだ抜けてない。

ももが呟いたと同時にお婆さんが何かを呟いていた。

だがセリフが被って分からない。

これなら誤魔化せる。

いや無理だろ…

 

「やぁ、ももちゃん奇遇ですね。ももちゃんも川に洗濯しに来たんです?」

お婆さんはももにそう言った。

「いや、芝刈りしてたら偶然…てかおば…なっ何してるんです?」

又、お婆さんと言いそうになった。

「わたしは…ほら川で顔を洗濯してたんですよ。決してサボってた訳じゃないんです。

本当です。信じてください!」

お婆さんと定義した少女はそう言った。

「別に誰も疑ってねぇーよ。顔を洗濯ってどんだけ汚ねーんだよ。」

ももは口を滑らせてしまう。

「激しい戦いでボドボドになってしまい…つい…」

何言ってんだこいつ?

「あっ太郎いたー。もう時間だから帰るよー。」

さっきの女子の声が聞こえた。

「はーい。」

少女は返事を返す。

そう言えばこのお婆さん、太郎って言うんだっけ?

ももは思い出す。

お婆さんと定義していた少女はももの同級生。

あだ名は太郎。光太朗でも幸太郎でもない女の子なのに太郎だ。

確かヒーロー物が好きだったとかでそれに因んでタロウだったか?

 

いつ聞いても酷い呼び名だ。いじめだろこれ?

「行こうか?」太郎は言う。

「そうっスね」ももは答える。

学校と呼ばれる牢獄に戻った。

とは言っても今日はこれで終わり。

こう言う日ならラッキーなどと喜んでみる。

 

しかし用事があることを思い出す。

洗濯物だ。

洗濯機が故障しているのでコインランドリーに寄らなければいけない。

洗濯物は袋に詰め学校に一緒に持って来ている。

壊れたのは昨日、洗濯は二人分なので対した量はない。

 

「さっき川があったなら持ってけばよかった」

まだ桃太郎は抜けてないようだ。

 

また頭の中で妄想を膨らませているとコインランドリーに着いた。

学校から徒歩30分程度の近場だ。

暑いな…クーラーはないのか…

今は6月、夏本番には未だ早い気温だが機械の熱気からか流石に蒸し暑い

コインランドリーに来るのは初めてだ。

機械の操作はよく知らないが適当に触ってれば何とかなるだろう。

 

そんなことを考えていると人影が視界に入る。

お婆さんだ!

違う、太郎だ!

「こんにちは、ももさん」

「どうも、たろうさん…」

お互いに挨拶を交わす。気まずい…

正直、会話所か挨拶も苦手だ…でも何故か今は頑張ろうと思う。

「川で洗濯しなかったんすか?」

くどいぞ

「いやー川が顔で汚れちゃってしかたなくここに来たんですー」

太郎は頭を掻きながらそう言った。

「どんだけ汚くしたんだよ?」

口を滑らす。

「いや強敵だったよ家の洗濯機は…」

「そっちも洗濯機壊れたんすね」

そう言った。

「あら、奇遇ですね」

どう言う奇遇かは分からないが取り合えず似たような状況らしい。

 

ギュオーン!!

洗濯機らしき機械音が響く。

人がまばらに出入りする姿が目に映る。

 

しかし気付くと二人だけ…

あれから数分が経過したらしい。

 

洗濯機の前で二人…何も起きない訳はなくっと思ったらなにもない。

正面で会話をしたまましばらく沈黙が続く。

 

ももは人の顔を視て話すのは苦手だ。

故に相手の表情は余り良く見えていない。

 

分かるのはお婆さんと定義した少女がお婆さんではないことだけだ。

当たり前です!

 

ギュオーン!

洗濯機の音が響く。

ギュオーン、きゃっきゃっきゃっあ!

洗濯機の音が響く。

ギュオーン、きゃっきゃっきゃっあ!

何か詰まったか?

ギュオーン、きゃっきゃっきゃっあ!

「何処からだ?」

「そっちの方かね?」

太郎も気付いたらしい。

音の異変を感じる場所へ近づく。

洗濯機だ!

いや、コインランドリーなんだから当たり前か…中に視線を向ける。

イメージ画像※実際の状況とは一部違います。

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赤子だろうか?

赤子らしき何かが洗濯機の中を回っている。

どんぶらこ、どんぶらこ、大きな桃はないようだが確かに視界に映る。

 

「最近は洗濯機から子供が流れて来るんですね」

 「そう視えます?」

太郎にも似たような景色が視えるらしい。

 

きゃっきゃっきゃっあ!

赤子の鳴き声だったらしい。

鳴き声と言っても悲鳴ではないらしい。

何だが楽しそうにも視える。

眼はそこまで良くないので気の性かもしれないが…さて?

 

「どうしましょう?」

「取り敢えず開けてみます?」

太郎はももの問いに答える。

 

洗濯機のボタンをいじると動きが止まった。

中を開けてみる。

赤子だ。笑っているように視える。

息をしているようだ。

太郎が赤子を抱える。

「えっと初めまして!太郎と言います。こちらの方はももさん。お名前は?」

赤子に向かって言ったらしい。

太郎ってお前…それでいいのか?

ツッコミ所が正しいかは分らないがそう突っ込まずにはいられない。

 

赤子は笑っているようだ。

どうやらこの赤子は人の言葉を話せないらしい。

いや、話さないのか?まぁどっちでもいい。

「どうも初めまして…」

ももは赤子に挨拶をする。

初対面の方に話すのはやはり緊張する。

誰に対してもだけど…

さて、どうしたものか…

気が付くと太郎は何かを漁っている。

近くにあった籠の様なものだ。丁度その赤子一人が入る位の大きさだ。

 

どうやら身元の分かる物がないかを探しているらしい。

太郎はこちらを振りかえり言う。

「太郎ともも…名前分からないから取り合ずももたろうってことにしようか!」

 

壮絶になにも始まらなかった…

 

つづく?